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★贋作ウルトラ怪獣名鑑戯画  Archive

さよーならー

ウルトラ怪獣名鑑 48

   変身怪人 ゼットン星人 ~ 『ウルトラマン』 第39話 「さらばウルトラマン」   ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 48

 ゼットン星人...。彼らは何者だったのでしょう?
 40年もの永きに亘る隠密調査の後、宇宙船団を編成して侵略行動を開始。変身能力を用いて岩本博士に成り済ました個体が、科特隊内部から破壊工作を実施。アラシ隊員の殴打によって露見した正真は、ケムール人(『ウルトラQ』第19話)にそっくりで、ハヤタ隊員の放ったマルス133の光線を浴び絶命した。その今わの際、断末魔の「ゼット~ン」に呼応するかのように、母船から同じく「ゼット~ン」と声を発する巨大生物が登場...。
 と、本編で判るのは、精々が上記の概要。「ゼットンを操るゼットン星人」なんて尤もらしい設定と呼称はこれ全て、児童書などの書籍媒体用にと体裁を見繕った、謂わばテキトーな後付け。画面を見る限りでは、逆の主従関係も充分有り得ましょう。つまりゼットンの方が主人で、“彼ら”は侵略の下拵えに従事する単なる雑兵に過ぎなかったのだと。ハチやアリに例えるなら労務系、人体に置き換えるならば、胃臓を満たす為に「実は働かされている」頭脳といったところ。
 そうでなけりゃ、あの甚だしい弱体に説明がつきません。“最強”の宇宙恐竜を使役する種族としては分不相応、ゼットンを手懐けているという説得力にまるで欠けます。あいつら。

 さて。2010年3月20日より続けてきたこの『贋作・名鑑戯画』シリーズも、今回で最終回と相成りました。「このフィギュアとその台座を組み合わせればあんな名鑑ないし戯画が...」という発意の下、軽い気持ちで始めた連作ですが。全12回の当初の予定が大幅に膨れ上がり、結局は4倍の48作にもなってしまいました。贋作ではありますが、本家の名鑑・戯画シリーズを揶揄したり貶めたりする心算は勿論無く、偏に名玩菓シリーズを崇敬すればこその企図・行為。ご愛顧戴けたら、欣幸この上ありません。
 勿論怪獣ブログは従来どおり続きますので、HP共々爾後も宜しくお付き合い下さい。(怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ゼットン星人 : 『HGウルトラマン』シリーズPART.44 新たなる覚醒編
                ※ゼットンに附属                     (バンダイ 2005年)
  • 台座(手前) : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟ラストバトルSPECIAL
                01 さらばウルトラマン(ウルトラマン対ゼットン)   (バンダイ 2008年)
  • 台座(奥)   : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラマン ファイナルコンプリートエディション
                10 さらばウルトラマン                  (バンダイ 2006年)
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竜寓城

ウルトラ怪獣名鑑 47

            怪竜 ~ 『ウルトラQ』 第6話 「育てよ!カメ」          ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 47

 “絵にも描けない美しさ”。それもその筈。何しろ竜宮城には、「何も無い」のだから...。けれどそこには、こましゃくれた女の子(=乙姫)と、彼女を護衛する竜が棲んでいましたとさ。という訳で、虚無空間に突如現われた怪竜です。
 本編劇中では、ほんの数秒間だけしか姿を見せなかった怪竜ですが。「竜宮城なのに竜が居ないのは何故?」という寓喩なのでしょうか。本家『浦島太郎』には登場しなかった竜についての言及は、ともあれ劃期的だったのかも知れませんね。
[次回は本シリーズ最終回、40年もの間鳴りを潜めていたあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • 怪竜(マンダを使用) : 『ゴジラ特撮大百科』シリーズVer.3 ゴジラの息子篇
                     1 守護竜マンダ         (イワクラ 2005年)
  • 台座            : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ3
                     07 まぼろしの雪山(ウー)   (バンダイ 2003年)

鈴生る危機

ウルトラ怪獣名鑑 46

    蛾超獣 ドラゴリー
 幻覚宇宙人 メトロン星人Jr.
 巨大魚怪獣 ムルチ(二代目) ~ 『ウルトラマンA』 第7話 「怪獣対超獣対宇宙人」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 46

 宇宙人と超獣を相手に苦闘するウルトラマンエース。そこへ追い討ちをかけるように怪獣まで出現!第7話のクライマックス、絶体絶命のあの場面をイメージして構成してみました。
 妖星ゴランが地球に衝突!!唯でさえ未曾有の危機なのに、ゴランを地球にぶつけようとするメトロンJr.、便乗したヤプールがドラゴリーを放ち、駄目押しはムルチと。容赦の無い、徹底したこのピンチっぷり!
 番組スタート間も無い第7話であるにも関わらず、斯様な危機の天こ盛り。爾後、ウルトラ兄弟が磔刑にされて、「もうこれ以上の窮地は無いだろう」と油断していたら、今度はウルトラ兄弟がタール漬けのブロンズ像されるわ。『ウルトラマンA』という作品は、「どういった趣向で以前の危機を凌駕してこますか」に、只管血道をあげていたような気がしますよ。つくづく。
[次回は、竜宮城の番人...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

幼き目には

ジラース

  エリ巻恐竜 ジラース ~ 『ウルトラマン』 第10話 「謎の恐竜基地」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 45

 佐賀県北山湖湖畔。自慢の襟巻きを捥がれ、奮然と嚇怒したジラース。一頻りウルトラマンと揉み合った後、刹那神妙な面持ちとなり、最期の突進をする寸前。あの緊張の一瞬をイメージしてみました。
 ゴジラのスーツを流用。と言っても、襟巻きの付け足しと少々の色彩アレンジで、殆んどゴジラと変わらぬ相貌のジラースですが。しかし私個人のいちばん古い記憶では、この対峙を[ウルトラマン対ゴジラ]として観た憶えはありません。勿論往時にゴジラの事は存知でしたが、銀幕の怪獣には左程馴染みも無く、また「着ぐるみの再利用」なんて裏事情を、まさか幼少の頭脳で閃く由もありませんでしたから。ただちょっと「似ているなぁ」と思ったぐらいで、それ以上はとても...。
 なので、たとえ襟巻きを毟り取られても、それは飽くまでも手負いとなったジラース。理性が理解していようとも、私の眼にはゴジラとして映じる事はありませんでしょう。今でも、そして今後も。まさに「三つ子の魂百まで」ですね。
[次回は、怪獣と超獣と宇宙人...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ジラース    : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ3
                 02 謎の恐竜基地                 (バンダイ 2003年)
  • ウルトラマン   : 『ワンダーカプセル ウルトラマン』シリーズ (バンダイ 2002年)
  • 台座       : 『ゴジラ全集』シリーズ1st.           (バンダイ 2006年)
                 1962 キングコング対ゴジラ
                 同シリーズ Final                 (バンダイ 2007年)
                 1966 ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
                 1969 ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃
                 1973 ゴジラ対メガロ
                 1993 ゴジラVSメイカゴジラ

岬にて

アギラ

カプセル怪獣 アギラ
ロボット超人 ニセ・ウルトラセブン ~ 『ウルトラセブン』 第46話 「ダン対セブンの決闘」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 44

 名勝伊良湖岬。力泳を終えずぶ濡れになったダンが、車中のウルトラアイを取りに行っている間、強敵相手の大役を仰せ付かったアギラです。その強敵とは...サロメ星人製作のニセ・ウルトラセブン!主人であるセブンと同等の能力を擁し、剰え見目までそっくりと来れば、こりゃあもう下僕のアギラが敵う筈もありません。敗色濃厚と見るや、さっさと岩陰に身を隠し、「あ~あ」なんつって頬杖なぞ突いちゃったりして...。
 シリーズも大詰め。満を持して“ニセモノ”が登場するエピソードですが、クライマックスにおける特撮がどうにも戴けません。ニセ・セブン対アギラ、そしてニセ・セブン対セブンと展開しますが、臨場感を出そうとした山っ気、これが裏目に。実際の崖っぷちでロケ撮影された為に、スケール感は致命的に稀薄、自然の風物に融け込んでしまった彼らが、何とも小粒に見えること。遠くで風に揺れる松の木が、又候切なくて...。
 ところで本エピソードの終盤。ウルトラセブンとニセ・セブンが足場の悪い崖畔で対峙、お互いの光線技を交錯させた末に、何と何とこれが緑色のヒモの引っ張り合いっこに発展します。この際セブンは、バランスを崩し崖から転落しそうになるんですけれど。あわや!となる、しかしこの窮地。そも宙空を自由に飛行出来る者同士の対決にあっては、いちばん要らない演出だったのではないでしょうか。
[次回は、ウルトラマン対ゴジラ!] (怪獣ラァーヴ)


Data :

鵺の啼く夜は恐ろしい

テロチルス

 始祖怪鳥 テロチルス ~ 『帰ってきたウルトラマン』 第16話 「大怪鳥テロチルスの謎」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 43

飛んでみろ 落ちてみろ 死んでみろ 泣いてみろ
暗い街 暗い海 暗い空 暗いくらい
暗い暗い暗いくらいくらいクラーイ

ザ・スターリン 「Bird」より 『trash』(1981年 ポリティカル)収録 作詞:遠藤ミチロウ


 前回のバードンに続き、火山由来の怪鳥をもう一羽。テロチルスです。尤も此奴の場合、棲み処である悪島の噴火を回避すべく東京へ飛来したのだから、寧ろ「火山嫌い」なのでは?でも口から硫黄成分を含む糸(?)を吐くあたり、やっぱり火山とは切っても切れぬ間柄なのでしょう。バードンと共に。
 さて。この硫黄入りの糸をビルに絡ませ、テロチルスは都心に巨大な巣を拵えます。で、この巣。白雪のような見た目とは裏腹に、これが排気ガスなどの一酸化炭素と結合すれば、人間を失明させる猛毒ガスに化学変化するという、まあ何て容赦の無い恐ろしさ!さすがは意趣返しの作家、上原正三氏の筆が冴え渡ります。なんてー。
 そんなテロチルスが登場する第16・17話の前後編。名鑑では、自ら築いた巣居を前に佇立する、後編の有り様を活写したのもでしたが。こちらは前編の、悪島におけるウルトラマンとの対峙を構成してみました。
[次回は、主人そっくりの敵の姿に戸惑うあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • テロチルス         : 『帰ってきたウルトラ怪獣名鑑』シリーズ 怪獣総進撃
                       10 怪鳥テロチルス 東京大空爆          (バンダイ 2007年)
  • 帰ってきたウルトラマン  : 『帰ってきたウルトラ怪獣名鑑』シリーズ 地球頂きます!
                        02 残酷!光怪獣プリズ魔             (バンダイ 2007年)
  • 台座             : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd. 1965 怪獣大戦争  (バンダイ 2006年)
  • 岩               : 『ゴジラ名鑑』 03 モスラ対ゴジラ          (バンダイ 2002年)

火没スル処

バードン

  火山怪鳥 バードン ~ 『ウルトラマンタロウ』 第19話 「ウルトラの母 愛の奇跡!」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 42

火山の島に生まれし君よ 弓状の島で育ったおのこ
真白い布に鮮血のいろ たなびく国のひとりのおのこ
昭和も遠くになりにけり されど 金色のオーラ 放ちてやまむ

ヤプーズ 「君の代」より抜粋 『Dadada ism』(1992年 東芝EMI)収録 作詞:戸川純


 なんて訳で。火山に生まれ火山に没した“火の鳥”、バードンの最期です。その出自、そして末路。そう、まるであのラドン(『空の大怪獣ラドン』1956年 東宝)のような生きザマでしたね...。
[次回、火山生まれの怪鳥をもう一羽...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • バードン : 『DGウルトラマン』シリーズ3                 (バンダイ 2010年)
  • 台座   : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd. 1989 ゴジラVSビオランテ (バンダイ 2005年)

蟷螂の斧

ドラコ

    彗星怪獣 ドラコ ~ 『ウルトラマン』 第25話 「怪彗星ツイフォン」       ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 41

 ツイフォン彗星の通過直後に地球へ飛来。日本アルプスの雪山に降り立つ瞬間、若しくはレッドキング(2代目)の突進を躱そうと飛び立つ瞬間、のドラコです。名鑑シリーズではレッドキングとの対峙を切り取ったもので、小じんまりとした仕様でした。ドラコ単体のラインナップがあったとすれば、こんなイメージでしょうか。
 緑色のボディと膜質の薄い翅、そして両手のカマと。宇宙怪獣にカマキリやバッタの要素を附帯させる趣向が斬新で、個人的には主役のレッドキングよりも此奴に惹かれてしまいます。当初の設定では、「右手が巻き取り式のムチ」という事になっており、実際のスーツもそのように作られました。撮影段階で両手ともカマに変更されてしまい、「もしムチだったらどんな戦いを繰り広げたのだろう」なんて、ちょっと残念に思ったり...。
 先述どおり本エピソードの主役は、二度目の登板となる人気者のレッドキング。いくらタイトルに掲げた“ツイフォン”出身の怪獣であっても、斬られ役は斬られ役。翅を毟り取られ逆エビ固めでK.O.なんて、まあ哀れな末路。
[次回は、火山に生まれ火山に没したあの鳥...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

フフクなフクロウ

ウインダム

    カプセル怪獣 ウインダム ~ 『ウルトラセブン』 第24話 「北へ還れ!」    ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 40

 北極圏はベーリング海辺り、どこかの島嶼か。カナン星人の灯台によって電子頭脳を狂わされ、主人のセブンに一頻り楯突いた後、「本来の敵に向かえ!」と諭されている飼い犬、ウインダムです。
 ミクラスでもアギラでもない。「敵に操られる」といった役どころが、精悍な顔立ちとは裏腹に、何故か似合ってしまうウインダム。生物と言うよりも、ロボットみたいな外貌だからでしょうか。若しくは電子頭脳と言えども所詮は機械、変調を来たし易いという事なのでしょうか。いずれにせよ生物と機械の狭間で揺れ動く、微妙な生命体であるからこそ、懐柔されるキャラクターとして適任なのかも知れませんね。で、このウインダムの不従順。TBS系列お笑いテレビ番組『リンカーン』で、41年振りに再現(?)されてますよ。詳しくはこちら
 ところでカナン星人ですが。「北極圏は我々の物」などと、少々遠慮がちな侵略の意志をしかし、殊更尊大に宣巻いております。何故極北限定?彼ら種族にとって、過ごし易い場所なのですかねぇ?
[次回は、彗星通過直後、日本アルプスに飛来したあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ウインダム           : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン編             (バンダイ 2003年)
                          02 姿なき挑戦者
  • ウルトラセブン         : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅲ         (バンダイ 2007年)
                          02R ウルトラセブン参上!(帰ってきたウルトラマン・ウルトラセブン)
  • 台座 (手前)         : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅰ         (バンダイ 2006年)
                          05 銀河に散った5つの星(ウルトラマンA対エースキラー)
  • 台座 (奥)           : 同
                          04 死刑!ウルトラ5兄弟(ウルトラマン・ゾフィ・ウルトラセブン・帰ってきたウルトラマン)
  • カナン星人の灯台型ロケット: 『HGウルトラマン』シリーズPART.48 ウルトラマンメビウス誕生編  (バンダイ 2006年)

壺蛸

タッコング

  オイル怪獣 タッコング ~『帰ってきたウルトラマン』 第2話 「タッコング大逆襲」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 39

 一度はウルトラマン(まだ郷と合体する前の)によって海底へ放逐されるが、好物のオイルを求めて再び東京湾に出現。上陸を果たし、港湾施設に迫るタッコングです。
 これがタコ!?今でこそテレビ番組で、様々な奇態を呈するタコのあれやこれやに、お目にかかる機会も多くなりましたが。「タコと言えば八本足」という、往時のコモンセンスを根底から転覆させてしまうようなその姿。しかし一方でタコとして不思議と合点がゆく有り様に、度肝を抜かれたものです。新シリーズの幕開け、真っ先に画面に登場した怪獣でもあったし。
 『ウルトラQ』のスダール(第23話)や『ウルトラセブン』のガイロス(第42話)、そして『ウルトラマンタロウ』のタガール(第7話)や『ウルトラマン80』のダロン(第17・18話)など。また等身大ヒーロー物に目を転ずれば、『超人バロム1』のタコゲルゲ(第13・14話)やら『人造人間キカイダー』のタコヤマブキ(第31話)やら。ここいら辺りが、“八本足タコ怪獣(怪人)”の王道に該当する朋輩でしょうか。タッコングも、「茹で上がったタコの足が頭部に向かってクルクルッと巻き上がっている」状態に、まあ見えなくもありません。ですがやっぱり、“タコ怪獣”としては相当な変化球と言えるでしょう。

そんな訳で。タッコング以前に存在した異端ダコー!
・ダコーダ(『マグマ大使』第25話-第28話):吸盤と軟体の表徴を以って“タコ”とするその潔さ!
・ダコラー(『ジャイアントロボ』第1・11話):人型を準えるシルエットは、寧ろヒトデ怪獣?

[次回は、極北で主人に楯突いた白銀のあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • タッコング     : 『HGウルトラマン』シリーズPART.15 タッコング大逆襲編 (バンダイ 1998年)
  • 台座・港湾施設 : 『ゴジラ名鑑』 06 ゴジラ×メカゴジラ              (バンダイ 2002年)
  • クレーン      : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ3
                  08 来たのは誰だ(ケロニア)                  (バンダイ 2003年)

木偶の坊や

ピッコロ

  わんぱく宇宙人 ピッコロ ~ 『ウルトラマンタロウ』 第46話 「白い兎は悪い奴!」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 38

 ハーシー大彗星の地球接近に伴い地上に落下。ウサギを毒殺する人間の蛮行を目撃し激怒。巨大化して一頻り暴れ捲くるも、タロウに懲らしめられギブアップしたピッコロです。
 ピノキオを想起させる木製風の身体と鼻梁、腹話術人形のような下顎の開閉システム。“ピッコラ星の王子”たる者の正装なのか、中世ヨーロッパ調のそれらしい装束に身を包み、しかし頭に頂いた派手なとんがり帽子なんかはまるでピエロ!最早「突飛」だとか「奇抜」だとかの域を超越したその容貌。幾ら度量の広い『ウルトラマンタロウ』でもこれは...と呆れる一方で、ウルトラにおける怪獣の可能性をグッと押し拡げた実は実は劃期な此奴め。悪い意味でも...。
 ところで本エピソードの題材は、因幡の白兎を歌った童謡「大黒さま」から。しかし果たして当時どれだけの小学生が、これを正しく歌唱してこましていたことでしょう?
[次回は、東京湾より再上陸を果たしたあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

銀ギツネ

ウリンガ

  超能力星人 ウリンガ ~ 『ウルトラマンレオ』 第29話 「運命の再会!ダンとアンヌ」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 37

 窮屈な身体に耐え切れず、本来の巨大な姿となったウリンガです。
 角だらけの頭部にV字型の赤い眼、パッと見はサイボーグを髣髴とさせる珍奇なデザイン。当時銀幕ではメカゴジラが登場する(『ゴジラ対メカゴジラ』1974年)など、怪獣のメカニカル化に市場が挙って飛びついた時代ですね。
 本エピソードはダンとアンヌ(に似た女性)の再会を描いたロマンスであり、勿論旧ファンの食指を当て込んだ心算なのでしょう。ところが『狐がくれた子』という、(個人的には)馴染みの薄い昔話をベースとしていた為か、将又和服姿のアンヌにしっくり来なかったせいか、2期シリーズの中でも特に印象に残らなかった回です。この次の週の「怪獣の恩返し」でもハヤタとアキコが登場しますが、やはり民話(『鶴の恩返し』)の世界を基盤とした物語。最早別人ですね。
[次回は、ピノキオ!?...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ウリンガ : 『HGウルトラマン』シリーズPART.33 史上最大の侵略編 (バンダイ 2003年)
  • 台座   : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd.
             1964 三大怪獣 地球最大の決戦               (バンダイ 2005年)
  • 建物   : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ3
             09 射つな!アラシ(ザラガス)                 (バンダイ 2003年)
             『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン編1
             01 ウルトラセブン                         (バンダイ 2003年)

マッチポンプ

キュラソ星人

   火炎怪人 キュラソ星人 ~ 『ウルトラセブン』 第7話 「宇宙囚人303」   ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 36

 ジャックしたβ号が墜落、紅蓮の炎に包まれるキュラソ星人です。この後、胃臓に鱈腹溜め込んだガソリンに引火して爆発四散。何とも哀れな最期でした。
 ところでキュラソ星人は、何故ガソリンを求めたのでしょう?火焔を噴いて身を護る為の下準備だったのか、それとも彼ら種族にとっての摂食行動であったのか?いずれにせよ油に火。自殺行為であった事は、厘毛も争われません。ダンから「自業自得」なんて言われるまでもなく...。
 本エピソードのラストには、地球とキュラソ星間の未来における友好関係が示唆されます。ですがあのような風体の朋輩が、果たして何らの障壁も無く市井にすんなりと融け込むでしょうか?石油の消費量も半端ではなさそうだし。我々人類のコスモポリタニズムが試される局面です。そういった意味を込めて、その星を“コスモポリタス第8惑星”などと名付けたのかも知れませんね。金城哲夫氏は。
[次回は、アンヌ(?)を「ママ」呼ばわりするあの子...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

都会生まれ

ツインテール

古代怪獣 ツインテール ~ 『帰ってきたウルトラマン』 第5話 「二大怪獣 東京を襲撃」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 35

 初音ミクだとか、ツンデレの代名詞だとか、昨今ではすっかりお株を奪われてしまった感のある“ツインテール”です。卵からの孵化直後、阿鼻叫喚と化した新宿駅西口界隈のイメージで構成してみました。
 今更多くを語る必要もない傑作巨編。個人的な思い入れを挙げれば、ツインテール誕生の瞬間。割れた卵殻の下、幼生(?)のツインテールを被嚢していた薄膜が、ビロ~ッと伸長されるあの有り様!生物学的に適正かは兎も角、“生命”の活写としては謹言この上も無く適切でしょう。もうひとつ。身体を振動させながら進撃する操演と、軋むような不快音。それらと相俟って、ヤツの奇態は初めて活きるのではないでしょうか。
 ところでこの巨大生物生誕の騒動の渦中、友人らとショッピングにあった坂田アキ(演:榊原るみ)が閉じ込められてしまう地下街ですが。スバルビル辺りでしょうか。現在居住している場所から程近く、そこいらを通りかかる度に、彼女の不遇を想い出したり、出さなかったりしていますよ。もう15年以上も。
[次回は、鯨飲したガソリンが仇となったあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ツインテール : 『アートワークスコレクション ~featuring 開田裕治~』シリーズPart.2 (メガハウス 2006年)
  • 台座      : 『ウルトラパノラマファイト』シリーズ ラウンド2                  (バンダイ 2007年)
                03 にせ超人三つどもえ決戦!!
                (ニセ・ウルトラマンVSにせウルトラセブンVSエースロボット)
  • 建物      : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd.
                1999 ゴジラ2000ミレニアム                             (バンダイ 2006年)

田舎育ち

グドン

  地底怪獣 グドン ~ 『帰ってきたウルトラマン』 第5話 「二大怪獣 東京を襲撃」   ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 34

 奥多摩第2採石場に出現したグドン。郷・岸田ら搭乗のアロー機から見た塩梅に、気持ち俯瞰気味に設えてみました。好物のエビ(ツインテール)を喰いに上京する前、ヤツがまだ田舎で燻っていた頃のイメージです。
 ムチ状の両腕、鋭利な鱗板が攻撃的に立錐した表皮、そして僅かな情感の介在をも許さぬ眼と。“残忍”を地で行く完璧な外貌。しかし一点、唯一点の隙を挙げるならば、所謂“おでこぐつ”の靴先のように円やかなトゥ。ツメは疎か指の構造さえ端折られたそこだけは、風体に似合わずそこはかと無くキュートです...ね?
 根城の田舎を飛び出し、食事をする為に新宿へ向かったグドン。それが結局あんな大事に。エビひとつ食べるのも命懸けというお話し。
[次回は、その田舎者の餌食となったエビ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • グドン : 『アートワークスコレクション ~featuring 開田裕治~』シリーズPart.2  (メガハウス 2006年)
  • 台座  : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd. 1968 怪獣総進撃                  (バンダイ 2006年)

団地住まい

フック星人

  集団宇宙人 フック星人 ~ 『ウルトラセブン』 第47話 「あなたはだあれ?」    ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 33

 大所帯(1万5千人)の大規模な移住計画。なのに巨大化したのは、取り敢えず3体だけ。シリーズ最終回も間近、逼迫していた(であろう)懐から捻り出されたのは、染み垂れた御三方です。
 夜間。住民が寝静まったのを見計らって、彼らフック星人の住まう地下団地が、本来の“ふくろう団地”と入れ替わり。ビジュアル的には異なりますが、『新世紀エヴァンゲリオン』の第3新東京市なんかが、このアイデアを髣髴とさせます。しかしなかなか寝静まらない現代社会では、成立が困難なストーリーですね。
 幼少期を団地で過ごした私にとって、この「あなたはだあれ?」や「怪獣殿下」(『ウルトラマン』第26・27話)などは、思い入れが一入でした。特に本エピソードについては、受難の佐藤(演:小林昭二)は扨措き、すり替えられる側の団地住民に自身を投射。「寝ている間に知らず知らずに地下に潜ってゆくのだなぁ」なんて、胸躍らせていましたよ。夜、寝床に入るときに。ちゃんと子どもらしく。全て平仮名で書かれたタイトルも読めて、親しみ易かったし。
 さて。この回でいちばんインパクトがあったのは、オープニング・テロップの“大山デブ子”(実際はデブコ)。アングラ系女優だからって、この潔さ!ナッパ服に身を包んだあの人たち、“亜無亜危異”の歌唱に打って付けです。♪団地のおばさん...っつて。
[次回は、美味いエビを喰いに上京したあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • フック星人・団地 : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン編 史上最大の侵略
                  05 あなたはだあれ?                     (バンダイ 2004年)
  • 台座        : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅳ (バンダイ 2007年)
                  05 ウルトラ6兄弟最後の日!
                  (ゾフィー・ウルトラマンタロウ・ウルトラマン・ウルトラマンエース)

血闘場への花道

アボラス

  青色発泡怪獣 アボラス ~ 『ウルトラマン』 第19話 「悪魔はふたたび」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 32

 鉱物試験所より蘇生したアボラス、街を破壊しながらの進撃です。まるで宿敵(?)バニラと引かれ合うように、お互い目指す先はオリンピック競技場、つまり現代のコロセウム...。
 レッドキングを母体にした首の挿げ換え。今でこそ人口に膾炙される着ぐるみリサイクルの駄弁ですが、昭和往時はまさかそうだとは思いもよらず、全く別のものとして見ていました。カラーリングの大きな違いもありますが、レッドキングの尖頭的なシルエットに比べ、アボラスのそれは武骨な印象。デザインを手掛けた成田亨氏に、数年間為て遣られていた訳です。幼く拙い眼は。
 本エピソードについては、撮影時に居合わせた円谷英二氏が、直接演出を指示したそうです。特にスペシウム光線のつるべ射ちなんかは、円谷氏の発案だったとか。基本的に氏が口を差し挟む事の無かったウルトラの中では、数少ない貴重な作品と言えるでしょう。
[次回は、団地には住めないサイズのお三方...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • アボラス : 『円谷倉庫』シリーズ1                (バンダイ 2008年)
  • 台座   : 『ウルトラパノラマファイト』シリーズ ラウンド2  (バンダイ 2007年)
             03 にせ超人三つどもえ決戦!!
             (ニセ・ウルトラマンVSにせウルトラセブンVSエースロボット)
  • 建物   : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd.
             1999 ゴジラ2000ミレニアム            (バンダイ 2006年)

リキッド&ソリッド

コスモリキッド

 液体大怪獣 コスモリキッド ~ 『ウルトラマンタロウ』 第2話 「その時ウルトラの母は」ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 31

 多摩川上流で工夫らを食み、地味に燻っていた頃のコスモリキッドです。ロケ地は氷川渓谷辺りでしょうか。“しだくら橋”と共に、2期ウルトラではお馴染みの場所。この後液化して川を下り、五本松近辺にて再固体化しますが、ここも頻繁に使われたロケーションです。
 “コスモ・リキッド”とは、つまり宇宙液体。しかしそんな含意を知る由も無い弱齢期、怪獣の名前にしては豪くハイカラな響きに、ちょっと羨んだりしたものです。自分の中では「コスモリ」と「キッド」に解体され、○○キッド(早射ちキッドとか)のような感覚でその名に接していました。
 さて、一度はウルトラマンタロウに倒されたかに見えたキッド君。“リキッド”になっていた事が僥倖、ライブキングの胃臓から生還を果たします。ですが折角の命拾いも、“ソリッド”になったらなったで此度は凍らされ、ZATのパンチ弾で木っ端微塵という末路。残念、特殊能力も水泡に帰します。
[次回は、炎よりも強い泡と言えばこいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

面の皮の下で仮面がほくそ笑む

シャプレー星人

  暗黒星人 シャプレー星人 ~ 『ウルトラセブン』 第20話 「地震源Xを倒せ」     ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 30

 ギラドラァース!の断末魔と共に果てる前、崖っぷちに佇立するシャプレー星人です。HG版を使って、名鑑ではラインナップされなかった此奴を構成してみましたが、莫迦みたいな突っ立ちポーズの為、「足場の悪い急斜面で踏ん張っている」感じが巧く出ませんね、やっぱり。
 “暗黒星人”の名とは裏腹に煌びやかな装束。そしてマイクロホンのような頭部は、またトンボの面貌を髣髴とさせます。有機的な造作を合切削ぎ落とした、情感無き冷徹(クール)のマスク。メタリックな先鋭的デザインは、後年の仮面ライダー出現を予見していたかのようです。
 シャプレー星人は正真を隠す為に、核研究の権威である岩村博士の助手・榊に成り済ましました。ウルトラ警備隊らを罵倒する頑固者の博士。そんな老人の下で何年もの間好青年を演じ、絶対の信頼を勝ち得たシャプレー星人。最早野望以外のものを勘繰ってしまうのですが...。ともあれ。面皮の下に隠していた素顔の方が、余っ程仮面のようだったという話し。
[次回は、水に融けて川を下ったあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

腐朽の名作

デットン

  地底怪獣 デットン ~ 『帰ってきたウルトラマン』 第3話 「恐怖の怪獣魔境」     ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 29

 着ぐるみの劣化を好い事に、それを新怪獣にデッチ上げた珍プレー、いや台所内情。使い回しとはまた違ったスーツの転用例として、しばしば口の端に上る楽屋四方山話の一。このような“裏出自”でファンから親しまれる、謂わば変り種でしょうか。はい、腐り朽ちたテレスドン、即ちデットンです。
 幼少期。その胡散臭さと切なさに、胸躍らせた『ウルトラファイト』。そして程無くして放映開始された「新しいウルトラマン」。早々第3話に登場したこの元テレスドンですが、私には何の抵抗も無くすっと入って来ましたよ、すっと。好きなんですよね、こういった間に合わせのチープさが。何か憎めなくって。
 ところで本エピソードは、ウルトラマンが初めて複数の怪獣を同時に相手にした、言うなれば劃期的事変。それまでの作劇では、「何匹怪獣が登場しようとも、最終的にウルトラマンと戦うのは唯一匹」というのが、まるで決まり事のように常套でした。この因習との訣別によってウルトラマンは容易く窮地に陥るようになり、結句「人間臭いウルトラマン」像が作られていったのでしょう。そういった含意からすれば、サドラと共にこのデットンも、実は実はシリーズの中で重要な位置付けにある訳です。
[次回は、好青年は世を忍ぶ仮の姿、実は核ドロボー...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • デットン(テレスドンを使用) : 『円谷倉庫』シリーズ1          (バンダイ 2008年)
  • 台座               : 『ゴジラ名鑑』 03 モスラ対ゴジラ   (バンダイ 2002年)
  • 台座(奥)            : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd.
                         1975 メカゴジラの逆襲         (バンダイ 2006年)

生殺与奪は我が掌中

レッドキング

  どくろ怪獣 レッドキング ~ 『ウルトラマン』 第8話 「怪獣無法地帯」       ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 28

 多々良島の血闘。王者対狂犬。捥いだ相手の片翼を手に、勝ち誇るレッドキングです。
 力は絶対。己が「生」の為にそれを揮い、躊躇無く殺す本然の「性」。立ちはだかるもの全て、誰彼構わず尽く屠るスローターマシン。慈悲は意味を為さず、罪悪感なんて下らない。そこに愛など無く、だからこそ美しい完璧なセイント。無垢なるが故の凶行は、好戦的なんて言葉では済まされません。
 レッドキングは断然初代!あの目!白眼を欠いた黒い瞳子には何らの情感の介在も認められず、只管に殺戮機械たり得ようとする酷薄な焔が揺らめくだけ。“どくろ”怪獣の異名にも合点がゆきます。二代目(第25話「怪彗星ツイフォン」登場)も外敵・ドラコの翅を毟り取ったりしますが、白眼の存在が余計な表情を生んでしまい、且つ擬人化された動作と相俟って、こちらは生存競争と言うよりは寧ろ喧嘩、戯れ事止まり。自らも深傷を負い、見ようによっちゃあ辛勝気味だった対チャンドラー戦とは、命懸けの必死さが雲壌の差です。
[次回、私はテレスドンじゃあありません...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • レッドキング    : 『DGウルトラマン』シリーズ1                 (バンダイ 2009年)
  • 台座         : 『ゴジラ全集』シリーズ1st.
                   1974 ゴジラ対メカゴジラ                   (バンダイ 2004年)
  • チャンドラー(羽) : 『HGウルトラマン』シリーズPART.37 怪獣無法地帯編 (バンダイ 2004年)

吠えろ!咬ませ犬

ペギラ

  有翼怪獣 チャンドラー ~ 『ウルトラマン』 第8話 「怪獣無法地帯」       ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 27

 島随一の膂力を誇る怪獣王に対し、怖めず臆せず猛然と嚇怒。大腿に裂傷を負いながらも、相手の頑健な肩口に歯牙を立てる向こう見ず。血で血を洗う抗争もしかし、片翼を毟り取られ結着。手負いのまま敗走するチャンドラーです。
 ペギラの頭に、2本の角(耳?)を付け加えただけのリサイクル怪獣。レッドキングの為の引き立て役は偸閑ですが、それでも王者の右肩に喰らい付き、己がレーゾンデートルを示した実績は立派です。まさに闘犬。僻目になりますが、彼の委細構わぬ無鉄砲さは、あの矢吹丈に通底しましょう。
[次回、その流血戦の覇者...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • チャンドラー : 『HGウルトラマン』シリーズPART.37 怪獣無法地帯編  (バンダイ 2004年)
  • 台座      : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd.
                1967 怪獣島の決戦 ゴジラの息子             (バンダイ 2005年)
  • 岩       : 『ゴジラ名鑑』 03 モスラ対ゴジラ              (バンダイ 2002年)

蟹江讃江

ブニョ

 円盤生物ブニョ
      ~ 『ウルトラマンレオ』第50話「恐怖の円盤生物シリーズ! レオの命よ!キングの奇跡!」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 26

 レオを奸計に嵌め、まんまと屠ったブニョ。発奮して巨大化、行く手の工場を破壊せんと万丈の気を吐きます。
 その拍子抜けする姿と頓狂な挙動とは裏腹に、レオを葬る大事を成し遂げたブラックスター11番目の刺客。最早“円盤生物”の肩書きを放棄したような人間体型で、膂力は無く、しかし悪智慧にだけは長けます。また登場当初はブラック指令の信望薄く、そんなところは『デビルマン』の妖獣ララに通底。双方グニャグニャに崩れるし。
 ブニョの人間体(?)を演じたのは蟹江敬三氏。絶えず下卑た笑みを浮かべ、頭部の触角をプランプラン。「軟体生物故に地球の重力に抗えない」という設定を、ヨタヨタした動作で見事実践。シリーズの中でも、特に強烈なインパクトを残しました。氏はこれ以前、『ウルトラマンA』で牛神男に変身してしまうヒッピー青年・高井を演じています。(第16話「夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男」) 僅か二つの怪演でウルトラシリーズに名を馳せる、流石は後の実力派!
 ところでこの回は、無造作に打ち棄てられたレオのバラバラ死体もショッキングでした。「レオが居るから地球は狙われる、レオなんか要らない」云々の台詞と共に、第2期怪獣ブームの終焉を考え併せると、意味深ですね。
[次回は、怪獣王に戦い挑んだ無謀なあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ブニョ      : 『HGウルトラマン』シリーズPART.32 人間標本5・6編           (バンダイ 2002年)
  • 台座       : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅳ 04 ウルトラ6兄弟最後の日!
                 (ウルトラセブン・帰ってきたウルトラマン対テンペラー星人)     (バンダイ 2007年)
  • 工場・クレーン : 『帰ってきたウルトラ怪獣名鑑』シリーズ 怪獣総進撃
                  06 怪獣時限爆弾(ゴーストロン)                      (バンダイ 2007年)
                 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ3
                  08 来たのは誰だ(ケロニア)                        (バンダイ 2003年)
                 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅲ
                  03 ウルトラセブン参上!(帰ってきたウルトラマン対ベムスター)  (バンダイ 2007年)
                 『ゴジラ名鑑』 06 ゴジラVSメカゴジラ                   (バンダイ 2002年)

サボテンと野人

ワイルド星人

 宇宙野人 ワイルド星人 ~ 『ウルトラセブン』 第11話 「魔の山へ飛べ」        ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 25

 群馬県岩見山の三合目辺り。生命カメラを手に、荒野に佇むワイルド星人です。劇中では牧童・雪村の姿で、この銃砲型器具を使用しているので、実際に画像のようなシーンはありません。
 拍車とかポンチョとかカウボーイとか。ウエスタン調の演出は意図した処なのでしょうが、群馬の高地にサボテンが不似合いで、どうしたって無国籍な風情。ラスト、生還したダンは馬を駆って現われるし...。
 ワイルド星人のスーツは、遊興施設や催事場などで見かける着ぐるみのレヴェル。年老いた種族が「生」に執着する切実なドラマなのに、何とも緊張感を殺ぐ姿でしたね。
[次回は、フニャフニャで卑劣なあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ワイルド星人 : 『HGウルトラマン』シリーズPART.41 COMPLETE SPECIAL 2 (バンダイ 2004年)
  • 台座      : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd.
                1967 怪獣島の決戦 ゴジラの息子                 (バンダイ 2005年)
  • サボテン   : 『仮面ライダー怪人名鑑』シリーズ2
                04 魔人サボテグロンの襲来(サボテグロン)           (バンダイ 2003年)

五体満腹

タイラント

 暴君怪獣 タイラント ~ 『ウルトラマンタロウ』 第40話 「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 24

 海王星、天王星、土星、木星、火星と、行く先々でウルトラ兄弟たちを血祭りに上げたタイラント。桁外れの強さ故か、二期怪獣の中でも知名度は上々。もし名鑑シリーズが継続されていれば、順当にラインナップされていた事でしょう。舞台構成のイメージは火星。つまりウルトラマンAと対戦した場面の想定です。
 35体もの怪獣の怨念が合体した最強怪獣。なんて触れ込み。尤も表立った要素は、シーゴラス(頭)、イカルス星人(耳)、ベムスター(腹)、バラバ(腕)、レッドキング(脚)、ハンザギラン(背)、キングクラブ(尾)と、6体のみによる組成。但し“合体系”の先達・ジャンボキングと異なるのは、それぞれのパーツを、各怪獣の最も映える部位から抽抜した点であり、単体としてのトータル・コーディネートは兎も角、窮めてアグレッシッヴな姿を成就させています。
 とは言え「良い所取り」の合体系にあっては、随所の特徴が自己主張し合ってしまい、ややもすれば没個性に陥りがちなもの。作り手がこれ見よがしに発信する合体怪獣がしかし、皮算用通りに人気の揮わない所以は、ごちゃ混ぜに起因する主眼の曖昧さにあるのでしょう。ジャンボキング、キング・オブ・モンス、ギガギマイラ、ベリュドラと、絢爛豪華に仕立てたところで、所詮は祭事における打ち上げ花火。注目されるのはほんの一時。芸能人のゴシップや醜聞の如く、センセーショナルは直ぐに廃れゆくものです。
 であるにも関わらず、タイラントの徳望が未だ持続しているのは何故でしょう?恐らくは、ウルトラ兄弟を事も無げに撃破した実績よりも、前述したように、1個の肉体として成立する見端。即ち、過剰さをある程度抑止した装飾の度合いが、彼を稀有な「合体系の成功例」ならしめているのではないでしょうか。それも、ベムスターの衝撃的な腹であるとか、バラバの凶悪な腕であるとか、それら派手なイングリーデンツよりも寧ろ「顔」。あの何処となく人懐こい面差しが、衆人を惹き付けて已まないような気がします。シーゴラス譲りのくりくりとした眼とチャーミングな八重歯(牙)、そしてトドメがイカルス由来の大きな耳殻。これ、この面構え。どっかの鼠のキャラクターに似てません?そうまでゆかなくとも、やっぱり愛玩動物を想起させる容色が、彼の人気の淵源であると密かに思っているのですが...。
 ところでこの合体怪獣。更に更に合体を遂げた姿で再登場する予定が、実は2008年の劇場用作品(『大決戦!超ウルトラ8兄弟』)の企画前に勘案されていました。その名も“グランドタイラント”。デザイン画では、タイラント構成員の他に、バキシム・アストロモンス・ゴモラ・エレキング等の要素が認められます。その豪壮さは圧巻で、実際に具現化されたギガギマイラよりも威風堂々としたもの。ただちょっと、イカルスの耳が無くなっているので、チャーム度は下がっていますが...。

キビしい そしてややこしい 平成を生き残れるのは
見た目も ちょっとステキな 働き者

見事な人になりましょう カンペキにしましょう
見事なボディーになりましょう もう トリコにさせましょう
何かとお得な思いを するからだ

[パフィー 「とくするからだ」より抜粋
      『amiyumi』(1996年 Epic/Sony Records)収録 作詞・曲:奥田民生 歌唱:パフィー]


[次回は、カメラで魂を盗りまくった毛むくじゃら...] (怪獣ラァーヴ)

Data :

  • タイラント : 『H.G.C.O.R.E. ULTRAMAN』シリーズ4 セブン SINCE 1967 編  (バンダイ 2007年)
  • 台座    : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd.
              1975 メカゴジラの逆襲                          (バンダイ 2006年)
  • 台座(奥) : 『ゴジラ全集』シリーズ3rd.
              1965 怪獣大戦争                             (バンダイ 2006年)

解体構築また解体

ジャンボキング

 最強超獣 ジャンボキング ~ 『ウルトラマンA』 第52話 「明日のエースは君だ!」 ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 23

 先頃(2010年5月)発売されたDG(デジタル・グレード)版のジャンボキング。その別途塗装による“異次元出現ヴァージョン”は、まるで消しゴムみたいな体たらくで、多くの愛顧者から顰蹙を買いました。で今回、敢えて不評だった方を登用して名鑑仕様にしてみたのですが...所詮消しゴムは消しゴムですね。映える筈もありません。因みに名鑑シリーズのジャンボキングは、『ウルトラ怪獣戯画』のラストバトルSPECIAL(2008年)にアソートされています。
 エースに敗れた超獣の分子を、ヤプールの残党が再構築。御霊を一つどころに結集させて祭る、まるで合祀みたいな怪獣。いや超獣。その内訳は、カウラ・ユニタング・マザリュース・マザロン人・スチール星人。「何故この顔触れ?」という疑団もありますが、寧ろこの「作為無き寄せ集め」の方が、却って強制的一元化の雰囲気が出ていて、これはこれで有りなのかもしれません。
 ですがやっぱり「合体」はよくありませんよ、「合体」は。最終回だからってんで、まあこの短絡極まりない着意。空想の産物である怪獣は、そもそもがハイブリッドの要素を兼ね備えており、それを一旦解体して又候暴力的に接ぎ合わせるものだから、畢竟変てこな事に。もう悪趣味の度合いと来たら随一で、以後この方策で成功した例は稀有なのでは?「刺身盛り合わせ」だの「やきとり盛り合わせ」だの、大衆居酒屋などでよく見かけるあの投げ遣りな御品書き。あれを得意気に掲げてこます店と、「それ幸甚の到り」とばかりに誂えて貰う客人。その無神経な遣り取りを目撃してしまったような、そんなおセンチな気分にさせてくれますよ、ジャンボキング君は。
[次回、合体系をもう一匹...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ジャンボキング : 『DGウルトラマン』シリーズ3      (バンダイ 2010年)
  • 台座        : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd.
                  1964 三大怪獣 地球最大の決戦  (バンダイ 2005年)
  • 台座(奥)     : 『ゴジラ全集』シリーズFinal
                  1973 ゴジラ対メガロ         (バンダイ 2007年)
  • 樹木(手前)   : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン編 史上最大の侵略
                  01 湖のひみつ(ミクラス)      (バンダイ 2004年)
  • 樹木(脇)     : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン編 プレミアムエディション
                  03 湖のひみつ(ミクラス)      (バンダイ 2006年)

四つん這い革命

キングザウルス三世

古代怪獣 キングザウルス三世『帰ってきたウルトラマン』 第4話「必殺!流星キック」ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 22

ズルッと出て来た怪獣は 智慧の優れた悪い奴
キングザウルス三世だ
それでどうした悪い奴 ウランを食べて大暴れ
序でにバリアで身を護る

「怪獣音頭」より2番抜粋 作詞:東京一 作曲:すぎやまこういち 歌唱:ハニー・ナイツ 1971年


 名鑑シリーズでは、『ウルトラ怪獣戯画』の第1弾(2005年)にアソートされたキングザウルス三世。ですが光波バリアに囲繞された体裁であった為に、フレアー状のヴェールの向こうに肝腎の主役の姿が見えず、流星キックを繰り出さんとするウルトラマンを配した折角の拵えも、何だか索漠としていました。「バリアを張り巡らせている」という趣向は心憎いのですが、如何せん成型素材の選択抽抜に難があったようです。で此度はオーソドックスに、怪獣主体で名鑑風に仕立ててみました。
 このキングザウルス三世は、四足歩行型怪獣としては、着ぐるみに劃期的な試みが施されています。それまでの四脚タイプは、操演の理由上どうしたって後肢の膝が地面に付いてしまい、正直「赤ん坊の這い這い」と評定されても致し方無いものでした。ところが此奴めに到っては、前肢共に後肢も直立。決して膝行させない、生物的にも説得力のあるシルエットを実現させたのです。同時に足の裏側が常に下方を向き、静止時にはピタッと接地しているという頗る付き!更にダックスフントのように四肢を短くする事で、中に入った人間の体型を否定しました。加えて過剰に長い首と尾も、人型の掩蔽・糊塗に一役買っています。こういった創意からは、新シリーズに賭けた意気込みが伝わるというもの。爾後、ステゴン(第10話)やシーモンス(第13・14話)、エレドータス(第15話)と、このインノベーションは徹底されます。
 さて注目したいのは、キングザウルス三世の断末魔。背後からトドメのスペシウム光線を喰らって横倒れ、左後肢を揚げピクピクと痙攣するその有り様です!最早「中に人が入っている」なんて匂わせない挙措。並べて新機軸による構造、であるからこその上首尾と言えるでしょう。
[次回は、屠られた超獣の怨念が合体したあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • キングザウルス三世 : 『HGウルトラマン』シリーズPART.4 永遠なる勇者編 (バンダイ 1995年)
  • 台座           : 『ゴジラ全集』シリーズFinal
                    1973 ゴジラ対メガロ                     (バンダイ 2007年)

化けの皮

ゴドラ星人

  反重力宇宙人 ゴドラ星人 ~ 『ウルトラセブン』第4話「マックス号応答せよ」  ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 21

 防衛軍基地爆破が不首尾に終わったゴドラ星人。ダンの姿(変身)のままポインターを駆って逃走、(律義にも)屋外で巨大化した瞬間です。2004年発売の本家・名鑑では、マックス号船内に佇立する等身大の体裁でした。なので今回、野外巨大化ヴァージョンにアレンジ。足許に、乗り捨てたポインターをあしらってみました。
 マックス号を占拠した宇宙待機組と、防衛軍基地破壊工作隊とが、それぞれ分担された役割を遂行。特に後者にあっては、美女、フルハシ、そしてダンと、お手軽な変身術を駆使してまんまと防衛軍心臓部へと潜入を果たします。“ゴドラガン”なる武器を所持(?)し、戦闘状況に応じては躯体の伸長も可能。予めウルトラ・アイを奪い、ウルトラセブン対策を万全にしておく抜け目の無さ。また任務履行の為には、死をも辞さぬ忠誠。そして何よりも“反重力”という、常識外れな科学力を擁する彼ら。勝利は目前と思われましたが...。
 奸計の解れは、得意とする変身術。先ずはフルハシに化けた個体の不自然なまでの饒舌に始まり、ダンに化けた際は額の絆創膏と“アンヌのお守り”を失念してしまうという、何とも「らしからぬ」手落ち。結句その違和を、ダンに、そしてアンヌに怪しまれる不手際。馬脚...「策士策に溺れる」とでも言いましょうか。卑劣な奴等でしたが、なかなかどうして。こういった詰めの甘さは、彼らの「可愛げ」を達弁に物語っています。
 ところでこの回は、ダンの、つまり森次浩司氏の怪演に俄然注目です。先ずは地下動力室で、ゴドラ星人がダンに変身するくだり。元のゴドラの余韻を残しつつ、「はっはっはっはっ...」と哄笑しながら両腕を揺さ振るダン。真摯な顔つきとのアンバランスが珍妙です。次に地下車輛置き場。アンヌを人質に捕ったダン(ゴドラの変身)が、何と!ウルトラセブンのアイスラッガーを額に受けてしまいます。なかなか謁見に与れない、貴重なシーンと言えましょう。最後は基地の外。ポインターから降車、追って来たセブンに対し、ダンから本来の姿に戻るところ。「ううう~っ」と唸りながら、拳を振り上げるその所作!森次さん、頑張ってます...。是非とも新奇なモロボシ・ダン像を、直にご査収下さい。
[次回は、初登場で既に“三世”だったあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ゴドラ星人 : 『HGウルトラマン』シリーズPART.14 光の星の戦士たち編 (バンダイ 1998年)
  • 台座    : 『ゴジラ全集』シリーズ2nd.
              1964 三大怪獣 地球最大の決戦                 (バンダイ 2005年)
  • ポインター : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ ウルトラセブン COMPLETE SPECIAL
              03 零下140度の対決(ガンダー)                 (バンダイ 2005年)

脅威の帰還

ラゴン

    海底原人 ラゴン ~ 『ウルトラマン』 第4話 「大爆発五秒前」            ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 ⑳ ★

 葉山マリーナより上陸したラゴンが、三浦半島の森林地帯を当て所無く進行するくだりのイメージです。2004年に発売された名鑑は、船舶を襲撃している場面の切り取りで構成されていました。遵ってラゴンのフィギュア自体は、喫水線から下部の半身が略された、所謂“ウォーターライン”と呼ばれる形式で作られています。折角の“巨大半魚人”なのだから「全身像を」と発心したのですが、如何せんHG版ラゴンの出来(特に着彩)が正直芳しくありません。矢張り名鑑版のクオリティで、身体髪膚の完遂を望むものです。
 木星開発用の原爆が日本海溝に落下、内1個が爆発。放射能の影響で狂暴・巨大化した海底原人が、未爆発の原爆をぶら下げて上陸。列島を核の脅威で蹂躙するラゴンの彷徨は、まさに「死の途行き」です。そも人類自ら創り出した「恐怖」が、自分たちの元へ撥ね返って来るという、何となれば皮肉の物語。核に纏わるこういった因果応報は、本邦分野の祖・『ゴジラ』(1954年)以来のテーマ。昭和往時、我々日本人にとって先の大戦は決して遠からず、1966年(『ウルトラマン』放映)が終戦から20年以上経ていようとも、その傷痕が尚も生々しかった事を伝える証左でしょう。
[次回は、赤いチョッキがチャームなあいつ...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ラゴン : 『HGウルトラマン』シリーズPART.20 ウルトラの国大爆発編  (バンダイ 1999年)
  • 台座  : 『ゴジラ全集』シリーズFinal
           1966 ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘             (バンダイ 2007年)

悪魔を憐れむ歌

ババルウ星人

暗黒星人ババルウ星人~『ウルトラマンレオ』 第39話「レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時」ラァーヴ!!

★ 贋作・ウルトラ怪獣名鑑戯画 ⑲ ★

 ウルトラの星が地球に衝突!?シリーズ創成以来、未曾有の大カタストロフィ!仕掛けたのは、黒装束に黄金の防具で身を固めた悪魔、人呼んで“暗黒星人”!
 黒のラバー・スーツに金属製のプロテクター並びにスパイク。こういったボンデージ・ファッションの風合いに加えて、トドメは波打つブロンドの頭髪。と来れば、これはもうロック歌手の身拵え。特にタチの悪い此奴はゴロツキも同然、なればパンクスに準えてみるのもいいでしょう。
 過去ウルトラ兄弟を窮地へと追い遣った強敵たち、例えばガッツ星人(『ウルトラセブン』第39・40話)やナックル星人(『帰ってきたウルトラマン』第37・38話)、ヒッポリト星人(『ウルトラマンA』第26・27話)やテンペラー星人(『ウルトラマンタロウ』第33・34話)など。ババルウの悪逆は、それらお歴々を凌駕する無道っぷりでした。
 また往年の大敵たちは凡そ饒舌であり、対して新参のババルウは無口という点も看過出来ません。立案した計画の有用性を得意気に捲くし立て、或いは己が力の何たるかを滔々と自讃するのが先達の常套。彼らとは劃期するかのように、寡黙を貫いて大事を遂行するそのスタイル。下手にトーカティヴであるより、「本物のワル」として成る程合点がゆくものです。
 ババルウ星人は予めアストラを捕らえておいて、然る上でアストラに変装し悪事を働きました。その正真を暴いたのは、誰あろうウルトラマンキング!なので、悪魔の素顔が初めて露見するのはドラマの後編(第39話)です。こういった勿体の付け方も、“大御所”登場の演出として実に効果的でした。
 しかーし!大悪玉っぷりもここまで。伝説の元老・ウルトラマンキングの謦咳に接しては小物に変貌、早々にトンズラを決め込みます。踵を返して足早に立ち去るその姿。「スタコラサッサ」という言葉を、適確な図像で説明するのならば、これ程誂え向きな素材は無いぐらい。セレブリティな風格を醸していた折角の黒と金が、安っぽい虚仮威しに堕した瞬間です。
 ところで。ウルトラの星と地球の存亡を賭けたファミリー集結の一大事に、何故ウルトラマンタロウだけ馳せ参じなかったのでしょう?年来の疑問でした。ある時ふと思ったのですが。この前後編のハイライトは、何は措いてもレオ兄弟とウルトラ兄弟の対峙。なればその旗幟を鮮明にする為に、つまり赤組と銀組を截然と分かつべく、「セブンも登場しない事だし、この際タロウも」と、赤系は致し方無く除外されたのではないでしょうか?
[次回は、原爆のせいで元来の性向が狂ってしまった海人...] (怪獣ラァーヴ)


Data :

  • ババルウ星人 : 『HGウルトラマン』シリーズPART.22 決闘!レオ対ババルウ星人編  (バンダイ 2000年)
  • 台座       : 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅳ
                 04 ウルトラ6兄弟最後の日!
                 (ウルトラセブン・帰ってきたウルトラマン対テンペラー星人)       (バンダイ 2007年)
  • 建物       : 『ウルトラ怪獣名鑑』シリーズ1
                 08 恐怖の宇宙線(ガバドンA)                          (バンダイ 2002年)
                 『ウルトラ怪獣戯画』シリーズ ウルトラ兄弟激闘史Ⅲ
                 03 ウルトラセブン参上!(帰ってきたウルトラマン対ベムスター)     (バンダイ 2007年)
                 『ウルトラ超獣名鑑』シリーズ (完)~優しさを失わないでくれ...編
                 03 ウルトラ6番目の弟(アングラモン)                     (バンダイ 2008年)

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