Home > 2010年12月

2010年12月

死せる舞踏 ~H少年からの贈り物 その13~

パワードレッドキング
どくろ怪獣 パワードレッドキング(雄)
       ~ 『ウルトラマンパワード』 第3話 「怪獣魔境へ飛べ!」ほか ラァーヴ!!  
 
 

 あなたよ
 なぜ骨をきらうのか
 骨は美しい!!
 いやらしいのは
 その骨の
 上についている
 肉ではないか!!

 (楳図かずお著作・『おろち』第2話「骨」より 1969年)


 その名も“どくろ怪獣”!人跡未踏の秘境で、未だ盛栄する弱肉強食の世界。死の表徴であるドクロを面相に戴き、暴虐の限りを尽くす強食の覇者。穿たれた眼窩の奥で光輝揺らめかすその明眸は、遠き時代より今日に到るまで、果たしてどんな地獄絵図を映してきたのでしょう。
 屍骸が腐敗し、鳥獣に喰われ、白骨となり、そして土に帰すまでの変容を、九段階に区劃。これを観想して、生への執着を断ち切る事を、仏語で「九想(くそう)」と謂うそうです。余剰な肉を括ぎ落としたレッドキングの容色は、精悍でストイック。まるで九想観を修験し遂せた達観者のようです。
 米国向けにアレンジされたパワードレッドキングの造作は、完全なしゃれこうべではなく、肉の残滓を付着させた、まだまだ腐敗途中の段階。映画 『フェノミナ』(1984年 ダリオ・アルジェント監督作品)に倣って言えば、サルコファガス(人間の腐肉を好む蝿)に取り付くよすがを与えてしまう、謂わば未熟者です。初代には、やっぱり敵いませんね。(怪獣ラァーヴ)


       フェノミナ        おろち

Data :

  • パワードレッドキング・雄 : 『パワードモンスター』シリーズ  (バンダイ 1993年)

Recommend :


ロンリー・ロン ~H少年からの贈り物 その12~

ロン
さすらい怪獣 ロン ~ 『ウルトラマンレオ』 第10話「かなしみのさすらい怪獣」 ラァーヴ!!  
 
 

 ペットとして個人輸入した北中米産のカメが、すくすくと成長して大型化。手に負えなくなった飼い主が、そこいらの沼沢に遺棄。環境に順応したカミツキガメが如き外来種が、生き永らえてのさばり、本邦淡水圏の生態系を撹乱する懼れが...。なんて報道を、しばしば耳にします。
 暴君マグマ星人の蛮行によって母星を逐われた、その名も“さすらい怪獣”。そんな悲運を背負ったロンは、ウルトラマンレオの元ペット。故意に棄てられた訳ではありませんが、主人の庇護から放逐され、致し方なく野良化した境涯は、カミツキガメと同じです。
 そんな宿無し犬が旧恩を忘れ、元主人に牙を剥くストーリーは、さながら椋鳩十のジュブナイル作品。曾て慈愛によって結ばれた紐帯であっても、酷薄な自然界で生き抜く為には、最早無用の長物。いや命取り。斯くて野性が本来持つ命根性の穢さは、“絆”などという腹の足しにもならぬものを、躊躇わず棄て去る訳です。
 さて。劇中に忠実な茶色ではどうにも地味で、玩具として映えない所為か、ご覧の通り緑色に作られたロンのソフビ人形。オリジナルを穢すよなこういったアレンジはしかし、オモチャの温か味を演出する上で必要悪だと思います。頓狂な色合いであるからこそ憎めない此奴を、H少年が愛玩したように、責任持って飼養しましょう。印旛沼の主になんか、させませんってー。(怪獣ラァーヴ)



Data :

  • ロン : 『ウルトラ怪獣シリーズ』No.43 (バンダイ 1991年)

外面似菩薩、内心如夜叉 ~5円引き with H少年からの贈り物 その11~

サドラ

★ 5円引きが綴る情景 015

 古拙の微笑。つまりアルカイック・スマイル。を湛えたウルトラマンは、金城哲夫氏のコスモポリタニズムを投影した、慈愛の化身でなくてはならない筈です。写真のように、己が殺傷した相手に対しての不敬、況してや胴体から頭部を両断するなどという凶行を働いた上に、まだ生温かいであろう生命の残滓を上掲して気色ばむ非礼はこれ、断じてあってはならぬもの。敵方の生首を弄んで亡骸に鞭打つ行為は、そう、蛮族だけがし得る死者への冒瀆です。又候お誂え向きに目とカラータイマーの電飾が消灯しており、光輝と生気が失せた外貌はまさに悪鬼、夜叉。金城氏が希った姿とは、まるで真逆の阿修羅を体現していますね。
 勿論斯様なシーンは本編にはなく、ブロマイド撮影の為にと、カメラマンと演者が現場のノリで取り決めた即興と推されます。その狙いも、「恐ろしい怪獣を倒したウルトラマンの雄々しき勝鬨」なんて感じで。でもこれが藪蛇。「相手は子どもなんだから」って見縊りが、却って頓痴気な結句に。こういった原作者の企図を意に介しない不遜は...実は割りと好きな方です。自己の記憶とちょっとズレたウルトラマンや怪獣に出逢えるのも、5円引きブロマイド蒐集の愉しみのひとつですから。
 ところでH少年からの贈り物に、写真の不遇者、即ちサドラの消しゴムが在りました!併せて画像を載せておきます。(怪獣ラァーヴ)

vlog-H011.jpg
岩石怪獣 サドラ ~ 『帰ってきたウルトラマン』
            第3話 「恐怖の怪獣魔境」ラァーヴ!!

Data :

  • サドラ  : 詳細不明 (    年)

マイケル富岡の夜は更けて ~H少年からの贈り物 その10~

シーボーズ
       UFO仮面 ヤキソバン ~ 『日清焼そば』                   ラァーヴ!!  
 
 

 当今で言ったら、大和ハウスの“ダイワマン”。あの大仰なスーツに、役所広司や唐沢寿明の如き大御所が、袖を通しちゃうものなんだろうなぁ。マイケル富岡がヤキソバンを演る意想外性って。
 ドイツ系の父親と日系の母親の血を継いだ日系アメリカ人。DJ、モデル、俳優と、幅の広いタレント性を発揮。芸能活動の最盛期には、「ボクのことは“マイケル”じゃなくて“マイコー”と呼んで下さい」などと、番組の共演者に吹聴。そんな立ち居振る舞いや、顎が割れた濃い顔立ちから、後にその「クドさ」を揶揄されるようになりました。
 然るにこの人形。「クドさ」という格好のモチーフを得ながら、それがまるで活かされておりません。晴れやかな面持ちが、却って淡白さを前面に発露させてしまっています。敵方のケトラー(本シリーズ「H少年からの贈り物」その1参照)の人形が、ちゃんとデーブ・スペクターに似ているだけに、可惜残念ですね。
 しかしだからと言って、「ヤキソバンのフィギュア化」としての事象的な価値が損なわれる訳ではありません。「一介のCMキャラクターを手許に置ける」という幸甚。赤と黄の奇天烈な装束を纏ったポップな此奴めからでも、それは充分に享受出来ます。なればケトラー同様にこのマイコーも、ノヴェルティの紛うかたなき逸品と言えるでしょう。そもヤキソバン有りきのケトラーですから。対になって初めて成立する彼らの世界観に想いを馳せ、また2人の離れ難き紐帯に畏まろうではありませんか!
 余談ですが。曾て野沢直子は、「マイケル富岡の夜は更けて」なる楽曲を自ら作詞し歌唱していました。他にも、珍妙だからという理由でその名を連呼するだけの「おーわだばく(大和田獏)」やら、ライオンやヒョウに噛まれた災難を茶化した「トモ子(松島トモ子)と呼ばないで」など。絶頂期の野沢であったからこそ、許容された愚弄芸の数々でしたが。さて渡米後は、まるで季節労働者のように、年に1~2度フラッと日本に舞い戻っては、止しゃあ良いのにTV出演。ズレまくった、と言うよりは時代に取り残された芸風と発言を、哀れにも晒す体たらくです。ミイラ捕りが何とやらですね。(怪獣ラァーヴ)



Data :

  • ヤキソバン : 『日清焼そばUFO仮面ヤキソバン ソフト人形』 (バンダイ 日清食品/電通 1994年)

Home > 2010年12月

Feeds
Links
Meta
Books
  • ウルトラ怪獣名鑑戯画報
     

  •  

  •  

  •  

  •  

  •  

  •  

  •  

  •  

  •  

Page Top